漆黒の黒般若
お団子をもって沖田さんは隣に座る


「みたらしだんごだよ。これ結構有名なお団子屋さんのだから近藤さんに感謝だね」


そういいながら沖田さんは美味しそうにお団子を頬張る


艶々しく輝くきつね色のみたらしによだれが出そうになる

「楠葉ちゃんもどーぞ」


そんなあたしを見てか沖田さんはお団子を差し出してきた


「ありがとうございます」

きっと今のあたしの顔はとても輝いていると思う

一口頬張ると口に広がる甘みは甘味党の楠葉にとって神のような存在だった


「美味しいぃ」

お団子を堪能した2人はならんでお茶をすする


日差しがちょうど縁側に差していて暖かい


お腹も一杯になった楠葉はついうとうとしてしまう


「楠葉ちゃんっ」


せっかく気持ちよく眠れそうだったのに隣からなにやらあたしを呼ぶ声がする


「なんですか?」


少しそっけなく返事をする

「眠たいの?じゃあ布団で一緒に…「結構です」


何を言い出すかと思ったら
本当に沖田さんはあきらめが悪いと思う



「じゃあせめてこれはいいにしてよ?」


そう言ったと思ったら沖田さんがあたしのももに寝転がった


「わぁっ」

もう乗ってしまった沖田さんをどけることも出来ず
そのままの姿勢で固まる


膝枕なんてしたことがない
足から伝わる体温に鼓動が速くなる


少し赤いあたしの顔を覗き込むようにこちらを向いた沖田さんは意地悪そうな笑顔を向けてにやにやしている


「な、なんですか?!」


恥ずかしさで顔から火が出そうだ

「楠葉ちゃんってさぁ反応が初々しいよね。可愛い」

「かっ…かゎぃぃだなんて…、そんなこと…ないです」


もう、斎藤さんといい沖田さんといい

どうしてこの時代の人達はこんなに恥ずかしいことを平気で言えるの?!

この時代の人は普通かも知れないけどあたしは平成の未来から来たわけで
平成の日本男児はこんなに積極的じゃない


ただでさえ免疫のないあたしは沖田さんの言動1つ1つに反応してしまう



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