漆黒の黒般若
「斎藤さん」


しばらくすると坂下が帰ってきた


その顔はいつも通りだが少し申し訳なさそうな感じだ

今から添い寝のことを言うのだろうか


俺が止めれば行かないといってくれるだろうか


俺は坂下の主人だ
今、彼女は俺の小姓なのだ俺が行くなと言えば行かないだろう


しかし、それはなんだか虚しかった


彼女が行かないのは俺からの命令だからであってけっして彼女の意思ではない



彼女は俺よりも総司が…



そんな事を無意識に考えていた斎藤ははっとする


はぁ…
彼女が総司と添い寝しようが別に俺には関係ないことではないか


そんな事で悩むなんてらしくないな


坂下のことになると狂う


気持ちは解決したもののどうしても今、楠葉に話しかけたら嫌なことをいってしまいそうで無視を決め込んだ


しかし彼女の悲しそうな顔に耐えきれず斎藤は部屋を後にしたのであった


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