漆黒の黒般若
部屋に戻ると坂下が倒れていた


驚いて駆け寄ったら気持ち良さそうな寝息が聞こえる

「なんだ、眠っているだけか…」


楠葉の隣にそっと腰を下ろす

すやすやと眠る彼女はうっすらと涙を浮かべていた


「また泣いたのか…?」


涙を指ですくってやりながら独り言のように呟く


「ん、ぅっ」

起こしてしまったかと思って咄嗟に手を引っ込めた


しかし彼女が目を開けることはなくそのまま静かに眠り始める


夏の日差しが優しく差し込む中平和な時間が2人を包み込む



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