漆黒の黒般若

お茶を入れてから縁側で日向ぼっこついでに色々と話をした



「あの、芹沢さんとお梅さんの出会いってどういった感じだったんですか？」


「そりゃもう最悪よ！」

「えぇっ？！そうなんですか？」


「ええ。あの頃あたしは菱屋の主人に身請けされて…」


「あの、身請けって何ですか？」

「あたし、元々遊女なのよ。わかる？島原の遊廓で毎日男に抱かれて生きてきたのを妾として菱屋の主人に買われたのよ。やっと遊廓から出られたのに元遊女のあたしにとっての生活はあまり変わらなかった…」


お梅さんの顔は遠い過去を思い出すようなとても哀しげだった


「っで、ある日あいつが菱屋にやって来た」


「芹沢さんですね！」

ついにきた２人の出会いに楠葉の顔が輝く

そんな彼女に笑いかけながらお梅の話は続いた


「そうよ。芹沢が店に着たの。その頃彼にはまだ悪い噂もなく普通のお客として迎えたんだけど代金をふみたおされてね…。
でもよく来るのよあの人

だから主人もあたしも困り果ててしまってて

そうしてある日主人に屯所まで借金を返してもらえるように頼みに行くよう言われたの

はっきり言って嫌だったわ
芹沢にはいい印象もないし、暴君と専らの噂だったから恐怖心もあったの

っで屯所におっかなびっくり来て驚いたわ


だってあの人子供とお絵かきしてるのよ？


あたし驚いちゃってね…」

「芹沢さんがお絵かきですか？！」


「信じられないでしょ？でもあの人そういうとこあるのよね」