漆黒の黒般若
「あの人はあたしを抱き抱えたまま屯所に向かってあるきだした

あたしは嫌がって抵抗したんだけどあの人の力に勝てるわけもなく屯所までつれてこられてしまって


部屋についた頃にはあたしの顔は涙でぐちゃぐちゃだったと思うよ?


またこいつに抱かれるくらいなら死にたかった


でも死ねなかった…

芹沢は抱き締めてくれたんだ

あの乱暴者とはかけ離れた優しい抱きかただった

涙が溢れて止まらなくてね

そんなあたしのことを押し倒すこともなくずっと抱き締めていてくれた

その日からあたしは少しずつだけどここに通うようになったって訳だよ


なんか単純な女だろ?あたしは


手込めにされた男に惚れちまうなんてさ…


でも、あの人は本当は優しい人なんだよ?

不器用なんだね…きっと」

自虐的だった笑みも今は幸せそうだ

きっと心のそこから芹沢さんを愛しているのだろう


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