漆黒の黒般若

「楠葉ちゃん、あんたは好きなやつはいないのかい？」


「へっ？！す、好きな人ですか…」


「なんだ、やけに反応がいいね。こりゃあ思い人がいるとみた。誰だいそりゃ？」


「い、いないです。そんな人…」


あたしは頭に浮かんだ影をかき消した


一体何を考えているんだ。あたしは！


赤いかおを隠すようにうつむくあたしをお梅さんはにやにやと何か言いたげにみつめてくる


「と、とにかくいませんから！」


「あーそうかい。まぁ楠葉ちゃんが結婚するときはあたしが仲人をつとめるからね。まかせなよ！」


「結婚ですか…。あたしは一生嫁に行けない気がしますよ」

「あははっ、大丈夫だよ。楠葉ちゃんならすぐにでも嫁の貰い手が現れそうだね」


「お梅さん…」


この時代に来てこうしてまたガールズトークができるとは思っていなかった


いつの時代もやはりガールズトークのネタは恋の話なのだろう


あたしの好きな人かぁ…