漆黒の黒般若
倒れた襖の後ろからは刀をもった黒ずくめの男達の姿を現した



そして1人の男はこちらをみて絶句する


「っ!!楠葉…ちゃん…」


黒ずくめだがあたしは彼らが誰だかわかった


「沖田さん…土方さん…」

「やはり来たかお前ら。どうせ新見を切腹にさせたのもお前らなんだろ?今日も酔った俺を殺しに来ることはわかってたよ…」


「ふんっ、それなら話は早いな。芹沢さん、あんたには死んでもらうぜ」


「だ、だめ!やめて土方さん!お梅さんの幸せを壊さないで!」


「楠葉ちゃん…」

「おい楠葉、お前此処へは来るなと言ったはずだが…」

「でもっ!こんな、酷いです…、少なくとも土方さんや沖田さんは芹沢さんと仲間じゃないんですか?!」

仲間と言った瞬間土方さんの目は少し見開かれる

しかしすぐにいつものしかめっ面に戻ると刀を構えた

「楠葉、そこをどけ!」


「嫌ですっ!あたしは、あたしは芹沢さんもお梅さんも好きなんです!死んでほしくない」


「おい、楠葉。誰がこいつらに殺されるって?俺はお梅と幸せになるんだ。ここでは死なねぇよ」


そういった芹沢さんは刀を構えた


あぁ、どうしてこの人達は仲間同士で殺しあっているのだろう…


一度大切な人を一気に失った楠葉にとって仲間同士の殺し合いなどとても贅沢に思えた


涙が溢れだし視界がぼやけるなか、首筋に痛みが走った


総司の一撃で楠葉はじょじょに意識を手放していった

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