漆黒の黒般若
部屋を出て来てしまった俺は早歩きだった足を止める

頭には楠葉の姿が浮かぶ


死んだように何も話さない楠葉は少しやつれていたように思える


沸き上がる怒りは紛れもなく自分へのもので


俺は近くにあった柱を思いっきり殴った


何度も殴った柱は血で赤く色づく


「くっそ…」


近藤さんのため
新撰組のため


しかし結果的には楠葉を傷つけてしまった


「俺はどうすればよかったんだよ…!」



握りしめる拳にはうっすらと血が滲む



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