漆黒の黒般若
はぁ…
楠葉の口からはため息が漏れる
斎藤さんに甘えてしまった後山南さんと原田さんが部屋に来た
「土方くんから話は聞いたよ。その…、すみませんでした。楠葉さんの大事な人を…、私たちは殺してしまった。いくら隊務だとしても楠葉さんを傷つけてしまったのは事実です。罪滅ぼしとは言いませんが楠葉さんの気持ちが晴れるなら私を殴ってもいいのですよ」
頭を下げる山南さんは申し訳なさそうに、しかし目だけは真剣な眼差しであたしを見つめる
「いや、山南さんだけに責任を被せるわけにはいかねぇ。俺だって片棒を担いだんだ。切腹の1つや2つ…」
「そっ、そんな…、やめてください!お二人ともあたしは恨んでなんかいないですから…」
原田が腰に挿していた小太刀を抜いたので楠葉は慌ててそれを止める
「そんな、無理するな!俺だって大事な人を殺されたら少しくらいは恨むぜ」
原田さんは止めにはいったあたしの腕を掴むと自分の方に引き寄せる
バランス感覚を失ったあたしは畳に倒れこんでしまった
それを優しく山南さんが起こしてくれて斎藤さんが見守るなか2人はあたしの前に正座で並ぶ
そして真剣な眼差しのまま深く頭を下げた
その光景は決して無様なものではなく
武士として、大事な人を殺してしまった人として罪を償っていく覚悟を決めているように見えた
近くにいた斎藤さんもあたしに向かって頭を下げる
武士が頭を下げるなど恥さらしである
しかしそんな恥をさらしてまでも彼らは楠葉の大切な人を奪ってしまったことを深く受け止めていた
じきに顔を上げた3人に楠葉は声をかけた
「あたしは、もう大丈夫です。もう泣きません」
小さい声だったが力強いものだった
楠葉の口からはため息が漏れる
斎藤さんに甘えてしまった後山南さんと原田さんが部屋に来た
「土方くんから話は聞いたよ。その…、すみませんでした。楠葉さんの大事な人を…、私たちは殺してしまった。いくら隊務だとしても楠葉さんを傷つけてしまったのは事実です。罪滅ぼしとは言いませんが楠葉さんの気持ちが晴れるなら私を殴ってもいいのですよ」
頭を下げる山南さんは申し訳なさそうに、しかし目だけは真剣な眼差しであたしを見つめる
「いや、山南さんだけに責任を被せるわけにはいかねぇ。俺だって片棒を担いだんだ。切腹の1つや2つ…」
「そっ、そんな…、やめてください!お二人ともあたしは恨んでなんかいないですから…」
原田が腰に挿していた小太刀を抜いたので楠葉は慌ててそれを止める
「そんな、無理するな!俺だって大事な人を殺されたら少しくらいは恨むぜ」
原田さんは止めにはいったあたしの腕を掴むと自分の方に引き寄せる
バランス感覚を失ったあたしは畳に倒れこんでしまった
それを優しく山南さんが起こしてくれて斎藤さんが見守るなか2人はあたしの前に正座で並ぶ
そして真剣な眼差しのまま深く頭を下げた
その光景は決して無様なものではなく
武士として、大事な人を殺してしまった人として罪を償っていく覚悟を決めているように見えた
近くにいた斎藤さんもあたしに向かって頭を下げる
武士が頭を下げるなど恥さらしである
しかしそんな恥をさらしてまでも彼らは楠葉の大切な人を奪ってしまったことを深く受け止めていた
じきに顔を上げた3人に楠葉は声をかけた
「あたしは、もう大丈夫です。もう泣きません」
小さい声だったが力強いものだった