漆黒の黒般若
そうして2日後原田の部屋では昼から楠葉の誕生日会が開かれた



「えー、このたびは楠葉さんの十七回目の誕生日会にご出席いただきまことに感謝…「あー、もう!山南さん!!そんなしんきくせえ挨拶してねぇでとっとと始めてくれ!」



山南さんの長ったらしい挨拶に嫌気がさした佐之さんはついに山南さんをどっついた


周りからは笑いがおこる


今日あたしのために集まってくれたのは山南さんと佐之さん、斎藤さん、平助くん、永倉さんにそして何故か見かけない顔が1人いる



「あの…、ずっと気になってたんですけどその人は誰ですか?」


あたしは勇気を振り絞って山南に聞いてみた


「あぁ、この人ですか?会うのは初めてなんですね。この人は山崎くんです」



「山崎 丞です。何とぞお見知り置きを…」



山崎さんと言われた人は切れ長の目とすっとした顔で現代でいうなら“イケメン”の部類に入るだろう


そのためミーハーな楠葉が1度見たら忘れるはずもなく


「いえ、初めてではないと思います。何度かあたしは見かけたことがありますから」


にっこり笑う楠葉は彼に会っていた


それも1度だけではなく何回も


山崎さんはそれに気づいていなかったらしく驚いている


「山崎さんって、もしかして前にあたしのこと見張ってました?」


楠葉の言葉にそこにいた全員が目を見開いた


「楠葉…、お前気づいてたのか?」


「はい…、なんかすみません」


眉を下げてしまった楠葉に一同は驚いた


山崎は偵察係として優秀でその実力で右にでるものはいない


しかしその山崎の尾行をこの子は見事に見抜いていたのだった


その場にいた全員が楠葉のなんらかの才能を感じた



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