漆黒の黒般若
「今日はなんだか浮かない顔だな」



「えっ?そうですか」


斎藤さんに言われてとっさに笑顔をつくる


「そんな顔作ったってバレバレだ」


「すみません…」


ここのところ段々嘘笑いが下手になった気がする


自分を守るために無意識に覚えた嘘笑いは段々と使うことがなくなっていた



今は自分を守らなくてもいいんだと思えるからなのだろうか…?


「っで、どうしたんだ?」


「いや、あの…裕のことが気になって…」



「あぁ、生きてるかも知れないんだろ?」


「はい…、でももう探しはじめて半年近く経ちますしやっぱり芹沢さんの間違いだったのかもしれません」


「あんたはその幼なじみ殿が生きていてほしいのだろ?」



「はい…、でも…」



「でも、なんだ?
どうせあんたのことだから余計な期待して裏切られるのが恐いんだろ?」



「へっ?!斎藤さんって超能力者なんですか?」


驚いて顔をあげると斎藤さんはなんだそれは?といいながら髪をほどきはじめる


「あんたの考えることなんてだいたいそんなところだろう。っで、しまいには新撰組の皆さんには迷惑をかけられないから諦めますっていうのがオチだろうな」


「うっ…」


斎藤さんはやっぱり超能力者だったんだ


そうとしか思えないほど斎藤さんの言葉は楠葉の想いを言い当てていた


< 230 / 393 >

この作品をシェア

pagetop