漆黒の黒般若
伝令が届いてから数分後斎藤達が池田屋についた


しかしそこはもうひどい有り様だった



血の海と化した床に転がる何体もの死体



その中であさぎ色の羽織が必死に戦っていた



「よし、原田は何人か連れて裏手に回ってくれ、あとは俺と一緒に中の加勢だ」


土方さんは今ごろ来た会津に手柄を横取りされないように彼らの前で1人立ちふさがっていた



「近藤さんを頼む」



仲間のために1人で戦っている土方さんの為にもここは1人も長州を逃がしてはいけない



そんな思いで突入した池田屋で新八が押されていた


「ぐはっ…」


「おぅ、助かったぜ。斎藤」


「あぁ、遅くなってすまなかったな…。それより状況はどうなっている?」


「それが、総司が上に行ったきり帰ってきてねぇんだ。1人で行っちまって…」


「任せろ…」


「すまねぇな。頼むぜ」


こうして上がった二階は妙な静けさが気味悪い


するとある部屋から刀がぶつかりあう音がする



ここだっ

と思い中に入った斎藤は驚きを隠せなかった


目の前で倒れ込んでいる総司も同様に驚いているのだろう



「どうして君がここにいるんだ…?楠葉ちゃん」



2人の目の前に現れたのは漆黒のセーラー服と黒般若の面をつけた楠葉だった




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