漆黒の黒般若


2年間探し求めた吉田を前に殴ったり罵声を浴びせるわけでもなく
楠葉はただ立ち尽くしている



「すみません…、斎藤さんあたしは来ちゃいけないってわかってたんですけどどうしても吉田はあたしの手で殺したくて…」



「坂下…」


「お願いします」


「わかった、説教はあとだ…。だがそいつはなかなか強いぞ」



「大丈夫です。一度やり合ったことがありますから。今度はまけません」



「おぉ、頼もしいじゃないか…。小娘が。かかってこい」



楠葉は改めて吉田に刀を向ける



ダンッ


カキンッ



2人の刀がぶつかり合う

畳を蹴る音と刀のぶつかる音が暗闇にこだまする



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