漆黒の黒般若
「土方さぁん」

重々しい空気に似合わない声が部屋に飛び込んできた

「あぁ、総司か…。突然入ってくるんじゃねーよ、いつもいってるだろうが!」

声の主、沖田総司は怒鳴り声に怯むこともなく笑い顔を更に緩ませ部屋に入ってきた



「ひどいなぁー、僕のこと呼んだの土方さんでしょー」


確かに総司を呼んだのは俺だった


部屋には既に3番隊組長の斎藤 一が座っている



「あれーっ、斎藤くんが居るってことは話したいことってもしかして今日の夜の見廻りに関係あるんですか?」



「するどいな、総司」


静かにうつ向いていた斎藤が顔を上げた




「まぁね、だって僕と一くんが2人だけで呼ばれることなんて初めてでしょ?だから巡回のことだってすぐわかったよ?」



「おいっ、黙って俺の話を聞け!」



勝手に話を進める2人にしびれをきかした俺は後ろではしゃぐ総司に向かって怒鳴った






副長に怒鳴られた斎藤と総司は動きを止めて固まるとその場に正座をして小さくなっていく




「まったく…、斎藤まで総司に吊られやがって。お前ら2人共組長なんだから少しは威厳っつーものをよー…「あーっ!はいはい分かりましたから用件をお願いします!!」


長くなりそうな土方の話をさえぎり総司は自分達が呼ばれた理由を促した










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