漆黒の黒般若
「あぁそうだった…実はな今日の夜、島原に例の黒般若が出るって噂が広まっている。今日の夜の見廻りはお前ら1番隊と3番隊だ。ちと、きいつけて見てきてくれ」




「へぇ…、漆黒の黒般若ですか?予告なんてずいぶん自信があるんですね。一体今夜は誰が殺されるのか…」



「バカ野郎!それを阻止するのが俺たちの役目だろうが!」



怒鳴り散らす土方さんを無視して僕は考え始めた


“漆黒の黒般若”とはここ最近現れ始めた殺し屋のあだ名だ



いつも暗闇から現れる彼は黒い般若の面を着けている
その姿も不思議で
何やら黒い羽織のしたの着物は異国の格好なのか、見たこともないような姿らしい



謎の多い黒般若はそうとう腕がたつらしく一度狙われたものは最後…


必ず殺される





そんな腕の高さを買ってか彼の元には沢山の依頼が舞い込むらしい

しかし、誰とも深く関わることがないため素顔を知るものもいない







そんな彼の噂は勿論新撰組にも広まっていた


だいたいの者が恐れ、自分の巡回中に出くわさないことを願った

しかし中にはそんな腕のたつやつなら勝負したいと思う者もいた

総司もそのうちの1人だったのは言うまでもない






「漆黒の黒般若か…。今夜が楽しみだなっ」




笑顔でつぶやく彼の笑顔がとても黒いことに気づいたのは斎藤だけだった







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