漆黒の黒般若
「いただきますっ」


「どーぞ」


しばらくして目の前に置かれた黄金色に光るみたらし団子を見てついついテンションがあがる


手にとって一口食べてみる


「んー!おいひぃ」


「本当に?よかったぁ」


「本当美味しいです。ありがとうございます。お信さん」


「そうやって食べてる楠葉ちゃんもかわいいわぁ。食べちゃいたいくらい」


「やっ、やめてくださいね!お信さんはちゃんとあんみつ食べてください」


お信の言葉に楠葉は構える

しかし笑うお信を見ていた楠葉はあることに気がついた



「そういえばお信さんって京の方言が出ないんですね?ここの生まれじゃないんですか?」


そう言った楠葉をみたお信の笑顔が一瞬歪んだ


それを見た楠葉は自分がなにか悪いことを言ってしまったのではないのかと思い焦る


「あ、あのっ。あたし何か変なこといっちゃいましたか?すみませんっ!」


「いいのよ。楠葉ちゃんは何も悪いことはいってないわ。あたしは元々江戸の生まれなのよ」



「そうなんですか。だから京弁じゃなかったんですね」



「そう言えば楠葉ちゃんもなまりがないわね。あなたも京生まれじゃないの?」


「あ、あたしは…」



「あら、楠葉ちゃんにも言いたくないことがあるみたいね」



「えっ?“も”って…」


「人には最低でも1つは言いたくないことがあるものよ。だからそれをどうするかは自分次第よ」



「そうですね…」



「じゃあ、秘密がある同士仲良くしましょう」



「はいっ」



< 311 / 393 >

この作品をシェア

pagetop