漆黒の黒般若
「これでよしっ!」



無事に沖田さんの分のみたらし団子も買った楠葉はお信さんと話ながら来た道を戻る



みたらし団子を買ったらさっさと帰ってくるつもりだったのだがお店でおしゃべりもしてきてしまった



「早く帰らなくちゃなぁ…」



「ねぇ、楠葉ちゃんのお家はどこなの?また会いたいし、送っていくよ?」



「あ、えっと…。あたし…」



お信さんはいい人だけどあたしが新撰組の屯所で暮らしてるのは言わない方がいいのかなぁ…



でも、また会えるって保証はないんだ…


またお信さんと話したいな…


男ばかりの屯所で暮らす楠葉はお梅が亡くなってからというものなかなか女の人と話すことがなく、心のどこかで寂しく思っていた



そんな時に現れたお信に楠葉はすっかり心を開いていた



「あの、あたし…。今は訳あって新撰組の屯所でお世話になってるんです」


「ふーん、そうなんだ」


「えっ!?驚かないんですか?」



この事を言ったらもうお信さんは会ってくれない気がしていた楠葉はお信さんの反応を見て少し驚いた


「ふふ、言ったでしょ?人には秘密の1つや2つはあるのって。だいたいこんな可愛い子が男装してることの方が驚きよ!?」



「そ、そうですか…?」


「えぇ!!楠葉ちゃんは絶対に普通にしてたら可愛いのに!もったいないわぁ」


「とにかく、あたしはちょっとやそっとのことじゃ驚かないから。何か相談したいことがあったらあたしがいつでも聞いてあげる」


「ありがとうございます」


こうしているとお梅さんが生きていた頃を思い出す


「また、会ってくれますか…?」


楠葉は恐る恐る聞いてみる
新撰組と繋がりをもっているあたしとお信さんはまた会ってくれるだろうか…


「もちろんよ。あたしも楠葉ちゃんとまた会いたいしね」



こうして楠葉は町でみたらし団子以外にも収穫を得たのであった



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