漆黒の黒般若
「全く、どこにいってたんですか?!それも塀をよじ登るなんて、いい歳の女子がやることではありませんよ!」



「はい、すみません…」



「池田屋の時といい、あなたにはすこしばかり脱走癖がありそうですね?しっかり監視をしなくては…」



「そ、そんな監視だなんて…」



「いや、楠葉さんはことの重要さがわかっていないんですよ!今は土方君が留守でよかったですよ…。もし、これが彼にバレたら君は切腹かもしれませんよ…」


「切腹……っ!って、今回は土方さんには黙っていてくれるんですか?」



「まぁ、それは…。バレたら切腹かもしれませんし…。あなたに切腹されたら困る人はたくさんいると思いますよ。私を含めてね」


そう言うと山南さんはにこりと笑った


「すみません、今後は気をつけます」


「いえ、あなたもいつも屯所に押し込められて大変でしょう…。私から土方君に今度は門から出られるように頼んでみましょう」



「山南さん…。ありがとうございますっ!」


「ところで、楠葉さん。あなたのことを総司が探していましたよ?」



「えっ?沖田さんがですか…?なんだろう…。じゃあ、あたし行ってきますね。山南さん、本当にありがとうございます」



「はい。ぁあ、よそ見して走ると転びますよー!」



「大丈夫ですよ〜、っひゃあ!っと」


言った側からつまずく楠葉をみて山南さんの顔はほころんだ



「全く…、楠葉さんに嫁の貰い手などつくのですかね…。まぁ、彼女には斎藤君がいますから心配はないとは思いますがね…」



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