漆黒の黒般若
それから楠葉にとって喜ばしい事はまだあった



山南さんが説得してくれたのだろう


ごはんは幹部の人達と一緒に食べられるようになった


「まぁ、飯くらいは…」



山南さんが何を言ったのか、土方さんは意外にもあっさりと認めてくれた



あと、付き添い付きでたまの外出も許してくれた



今日はその外出の日で、土方さんが付き添いを引き受けてくれたのだが


なにせ歩くのが速くて追うのが精一杯の状況だ


しまいには転んでしまう始末で


しかしなんとかお目当ての団子屋さんに着くことが出来た



「俺は手前の店で待ってるからよ」



「なんかすみません…」


「なに謝ってんだよ。俺のことは気にしねぇで楽しんでこい」


そう言って笑いながらあたしの頭をぐしゃぐしゃに撫でる土方さんに少し驚いた


「はいっ。では、行ってきます」


土方さんがあんな顔するなんて意外だったな



向の食べ物屋に入っていく土方さんを見ながら楠葉は思った



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