漆黒の黒般若
頭を抱えて一生懸命考える楠葉にお信さんは意地悪そうな笑みで言った


「前に、付き添いで来た隊士の方。確か…、斎藤さんって言ったかしら?楠葉ちゃんって、あの人のこと好きでしょ?」




「っ…………?」



その言葉で楠葉の思考は停止する



目の前でお信さんが言いはなった言葉には楠葉をフリーズさせるほどの威力が含まれていたとは思わない


しかし今まで17年間恋などしたことがなかった彼女に色恋事の区別は難しかった


しかも今まで恋だの愛だの、楠葉は“いつかすればいいや”と思っており彼女にとって恋愛など別世界の代物なのだ



したがって、こんなごく普通のガールズトークでも楠葉には思考を停止させるほどの威力があったのだった



「楠葉ちゃん、おーい。楠葉ちゃん!…はぁ、だめだこりゃ」




フリーズしままま固まった楠葉は目をぱちくりさせながらしばらく動かなかった



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