漆黒の黒般若
「本当、信じられない!」


未だに怒りが収まらない楠葉は屯所の裏の方で壁に向かってぶつぶつ愚痴をこぼしていた



「2回も騙すなんて!最低!!もう、あたしのドキドキ返してよ!」



ことごとく騙されてもまだ斎藤さんのことが嫌いにはなれなかった


「うぅ…、ぐすっ、部屋戻りずらいな…。今日は誰か違う部屋に泊めてもらおうかな…」


と、考えたもののここは男の巣窟


斎藤さん以外の人と部屋を一緒にする気にはならなかった



「でも…、なんか気まずいなぁ」


ぶつぶつ言っている間に日は落ちてきてしまった



斎藤さん、心配してくれてるかな


あたしのこと探してたりしたらどうしよう…


「って、自意識過剰だね。考えすぎだ」


甘い考えはすぐ却下し楠葉はその場に体育座りをする

ボーッと空を見上げると少しずつ薄暗くなっていく感じが綺麗で見とれてしまう

そういえば未来にいた頃もよく空を見ていた気がする

理科が得意な裕が星座の名前をよく教えてくれた



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