漆黒の黒般若
「りんご」
「ごま」
「まゆげー」
「げ?げー、げげげ…下駄」
「たぬき」
「きば」
「ばぁー?“は”でもいい?」
「だめだよ。さっきそっちが変換なしっていったんだから」
「けちだなぁ。楠葉」
「うるさいなぁ。はやく続き言いなよ」
「うーん、じゃあバッタ」
先程からしりとりをしている相手は小十郎だ
部屋で暇をもて余していた楠葉はつい先程斎藤さんにお客さんが来ただかで追い出されてしまった
しかし追い出されただけの割りにやけにの悪い機嫌の本当の理由はそのお客さんが女の人だったからである
しかもただの女の人じゃない
とてつもなく綺麗な人だった
そんな人が斎藤さんと2人きりで…
かんがえるだけで頭が混乱する
「なぁ、楠葉。落ち着けって…。斎藤隊長は変なことする人じゃねぇよ」
「別に、落ち着いてるからっ。斎藤さんがあのお客さんと何しようがあたしには関係ないもん」
やけにムキになる楠葉はしりとりを止め小十郎に背を向けてしまった
まったく…
困ったような顔でその小さな背中を見ていた小十郎はため息を一つつくとかまをかけるように言った
「でも、斎藤隊長も男だからなぁ…。あんな色気ムンムンの美人に言い寄られたらついつい手をつけちゃうかもなぁ。しかも斎藤隊長もかなりの色男だ。普通の距離がいつまで続くことか…」
軽くかまをかけたつもりだったが目の前の背中はかなりのショックを受けたらしくふるふると震えている
「あ、あたし…」
よし、とどめだ。
「だけど、お前には関係ないんだろ?ただの小姓だもんな」
やはり最後の一言が効いたのか、真っ青な顔に涙を浮かべて振り返った楠葉は泣きついてきた
「どうしよう…。どうしよう小十郎っ。あたし、あたし…。斎藤さんのことが心配かも…。でもっ」
「でも?」
「小十郎が言ったとおり、あたしはただの小姓だから斎藤さんとあのお客さんがやらしいことしてても文句いえなぃ…」
涙でぐちゃぐちゃになり始めている顔の楠葉の背中と後頭部をポンポンと叩いて落ち着かせると小十郎は楠葉に言った
「小姓だから言えないんじゃなくて、小姓だから言えることもあるんだよ」
「小姓だから言えること?」
小十郎に手拭いで涙をぬぐってもらいながら楠葉は聞き返す
「あぁ、だから例えば屯所内で女の人とは仲良くしないでください。皆の士気が下がるので。とか」
「うーん…。でもなんか嫌みっぽいから嫌な女っぽいかも…」
「なんだ?楠葉斎藤隊長に女として見てほしかったのか?」
これもかまをかけたつもりだった
ニヤリと笑う小十郎をよそに楠葉は真っ赤になっている
「べつに、そうゆうわけじゃないんだけどっ」
「へぇ、じゃあ言えるじゃねぇの?“ただの”小姓ならな」
「小十郎、性格悪っ…」
うつむいてボソリと呟いた楠葉だったが
「おい、聞こえてンだよ。なんだ?こっちは親切に相談に乗ってやってンのに。そっちがそのつもりならもう俺の部屋には立入禁止だからな。相談だって他の隊士に聞いてもらえー。まぁ、お前が女ってバラしても平気なやつがいればいいんだけどなー」
「うぅ、小十郎の意地悪っ!あたしにそんな人がいるわけないじゃん!わかってるくせに言わないでよ」
そう言うと楠葉はゴロンと横になる
「おい、結局寝るのかよ。斎藤隊長のとこにはいかなくてもいいのか?」
「もうそのこと考えるのやめる。斎藤さんなら大丈夫だよ。小姓なら信じることも仕事のうちだからね」
先程とはうって代わりにこりと笑う楠葉は伸びをすると横向きに寝始める
「やれやれ、あんだけピーピー泣いときながら結局はそれかよ。おい、また顔に畳の跡つくぞ」
布団も敷かずに寝そべる楠葉に自分の膝を指差すと楠葉ものそのそと小十郎の膝を枕代わりに使って寝始めた
前に小十郎と祐は違うと気づいてから小十郎との仲は一気に深まっていた
楠葉自体はあまり意識はしていないようだったが小十郎に見せている楠葉が彼女の素なのだろう
すやすやと寝息をたてる楠葉の髪を触ると昔と同じようにサラサラと指から落ちていった
「はぁ、俺のポジションって微妙だよな…」
「ごま」
「まゆげー」
「げ?げー、げげげ…下駄」
「たぬき」
「きば」
「ばぁー?“は”でもいい?」
「だめだよ。さっきそっちが変換なしっていったんだから」
「けちだなぁ。楠葉」
「うるさいなぁ。はやく続き言いなよ」
「うーん、じゃあバッタ」
先程からしりとりをしている相手は小十郎だ
部屋で暇をもて余していた楠葉はつい先程斎藤さんにお客さんが来ただかで追い出されてしまった
しかし追い出されただけの割りにやけにの悪い機嫌の本当の理由はそのお客さんが女の人だったからである
しかもただの女の人じゃない
とてつもなく綺麗な人だった
そんな人が斎藤さんと2人きりで…
かんがえるだけで頭が混乱する
「なぁ、楠葉。落ち着けって…。斎藤隊長は変なことする人じゃねぇよ」
「別に、落ち着いてるからっ。斎藤さんがあのお客さんと何しようがあたしには関係ないもん」
やけにムキになる楠葉はしりとりを止め小十郎に背を向けてしまった
まったく…
困ったような顔でその小さな背中を見ていた小十郎はため息を一つつくとかまをかけるように言った
「でも、斎藤隊長も男だからなぁ…。あんな色気ムンムンの美人に言い寄られたらついつい手をつけちゃうかもなぁ。しかも斎藤隊長もかなりの色男だ。普通の距離がいつまで続くことか…」
軽くかまをかけたつもりだったが目の前の背中はかなりのショックを受けたらしくふるふると震えている
「あ、あたし…」
よし、とどめだ。
「だけど、お前には関係ないんだろ?ただの小姓だもんな」
やはり最後の一言が効いたのか、真っ青な顔に涙を浮かべて振り返った楠葉は泣きついてきた
「どうしよう…。どうしよう小十郎っ。あたし、あたし…。斎藤さんのことが心配かも…。でもっ」
「でも?」
「小十郎が言ったとおり、あたしはただの小姓だから斎藤さんとあのお客さんがやらしいことしてても文句いえなぃ…」
涙でぐちゃぐちゃになり始めている顔の楠葉の背中と後頭部をポンポンと叩いて落ち着かせると小十郎は楠葉に言った
「小姓だから言えないんじゃなくて、小姓だから言えることもあるんだよ」
「小姓だから言えること?」
小十郎に手拭いで涙をぬぐってもらいながら楠葉は聞き返す
「あぁ、だから例えば屯所内で女の人とは仲良くしないでください。皆の士気が下がるので。とか」
「うーん…。でもなんか嫌みっぽいから嫌な女っぽいかも…」
「なんだ?楠葉斎藤隊長に女として見てほしかったのか?」
これもかまをかけたつもりだった
ニヤリと笑う小十郎をよそに楠葉は真っ赤になっている
「べつに、そうゆうわけじゃないんだけどっ」
「へぇ、じゃあ言えるじゃねぇの?“ただの”小姓ならな」
「小十郎、性格悪っ…」
うつむいてボソリと呟いた楠葉だったが
「おい、聞こえてンだよ。なんだ?こっちは親切に相談に乗ってやってンのに。そっちがそのつもりならもう俺の部屋には立入禁止だからな。相談だって他の隊士に聞いてもらえー。まぁ、お前が女ってバラしても平気なやつがいればいいんだけどなー」
「うぅ、小十郎の意地悪っ!あたしにそんな人がいるわけないじゃん!わかってるくせに言わないでよ」
そう言うと楠葉はゴロンと横になる
「おい、結局寝るのかよ。斎藤隊長のとこにはいかなくてもいいのか?」
「もうそのこと考えるのやめる。斎藤さんなら大丈夫だよ。小姓なら信じることも仕事のうちだからね」
先程とはうって代わりにこりと笑う楠葉は伸びをすると横向きに寝始める
「やれやれ、あんだけピーピー泣いときながら結局はそれかよ。おい、また顔に畳の跡つくぞ」
布団も敷かずに寝そべる楠葉に自分の膝を指差すと楠葉ものそのそと小十郎の膝を枕代わりに使って寝始めた
前に小十郎と祐は違うと気づいてから小十郎との仲は一気に深まっていた
楠葉自体はあまり意識はしていないようだったが小十郎に見せている楠葉が彼女の素なのだろう
すやすやと寝息をたてる楠葉の髪を触ると昔と同じようにサラサラと指から落ちていった
「はぁ、俺のポジションって微妙だよな…」