漆黒の黒般若
次の日

熱も下がった楠葉は斎藤に頼み幹部を集めてもらった

目が覚めた彼女の隣には知らない男が柱に寄りかかって眠っていて
驚いたが、きっと彼が自分の看病をしてくれていたのだろうということがわかった



疲れきった彼に近寄り長い前髪に隠れた顔を覗く


すっとした鼻に
長いまつげが切れ長の目から沢山はえている


綺麗だと

素直にそう思った


普段は警戒するのだが何故か彼なら平気な気がする


しばらく観察していると

「俺の顔に何かついているのか?」

眠っていたと思っていた男が突然目を開けた


「ひやぁっ!」


突然のことに変な声がでてしまった楠葉は後ろに尻餅をついてしまった



「それほど元気ならもう大丈夫だろう」

痛みで顔をしかめる楠葉に男はそう言うと立ち上がった

予想していたよりも小柄な彼に楠葉は頼みごとをした

「あの、あたし…。話します。全部話しますから皆さんを集めてもらってもいいですか?」


小さな声だったが聞こえたらしく彼は

「承知した」
といって部屋をでていってしまった





一人取り残された楠葉は不安を抱えながらも彼らに全てを話すことを決めたのであった




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