漆黒の黒般若
日がくれてきてあたしは大広間に向かった


「歓迎会かぁ…」


正直歓迎会といわれて喜んでいる自分がいる
しかし楠葉には彼らと本気で打ち解けようとは思えないでいた


理由は色々とあったが中でも一番気がかりなのは
自分のせいでまた大切な人を死なせたくないというものだ



両親を亡くし
こっちの時代に来て幼馴染みの祐までもが目の前で楠葉をかばって死んでいった


それが本人でも気付かないうちにトラウマとなり
反射的に彼らと距離をおいた


それが楠葉の嘘笑いの原因である


親しくなったら目の前から消えた時にあたしはどう対処すればいいのだろう

散々味わってきたその気持ちを彼女はもう味わいたくなかった



だから楠葉は決めたのだ


もう誰とも本気の付き合いなどしないと…



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