漆黒の黒般若
ザシュッ


俺の隣で血と肉が飛び散った


「楠葉っ」



目の前の浪士から一旦間をとった俺はすぐに楠葉の安否を確認する


「く、楠葉…?」

俺はその光景を見て
目を疑う


転がる腕とうずくまる影は楠葉のものではなかった


「うぅ…」

楠葉に襲いかかったはずの長州浪士は一瞬にして腕を切り取られ
痛みでその場にうずくまる


それを見下すように刀を握って立つ楠葉は

あの
冷酷な

黒般若だった




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