漆黒の黒般若
階段を降り始めるにつれ本棚はじょじょに閉まっていき、最後の階段を降りる頃にはダンッと音をたてて閉まりきってしまった



「祐、怖い。」




眉を潜めて微かに震える楠葉を隣に感じて
祐は楠葉の手をぎゅっと握りしめた



「大丈夫だよ。っと電気電気」



電気を見つけた彼は
突然ついた灯りに目を細めた



次に目を開けた時に
飛び込んできたのは
鉄製の大きな機械だった



1畳くらいのの箱のような形に出入り口らしき扉が1つついている




今日は驚かされることばかりだ



彼はそれを眺めながら
思った






「楠葉。おまえこれ何かしってるか?」



すっかり楠葉の存在を忘れていたのを思いだし彼女がいると思われる方に声をかけた



「しらない。お父さんが作ったのかな…」



この物体がなんなのかは本当に知らなかった
でも犯人が探していたのはこれではないのだろうか、と思った




「入ってみよ。」



楠葉はまるで吸い寄せられるようにその箱に向かって歩きだした



「おいっ。まてよ」



少し遅れて祐もあとに続いた





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