漆黒の黒般若
そんなある日…


「おい、近藤氏。今日の夜俺の部屋に例の女をよこしてくれ。話がある。頼んだぞ」




それは突然の要請だった


俺と話していた近藤さんのところに急にやって来た芹沢さんは2人の返事も聞かずに楠葉を部屋によこすように言うと去っていった



勿論幹部たちが集められ会議が開かれた



「どうすんだよ、土方さん!あいつの部屋に行った女はただでは出てこれねぇんだぞ!」

平助は俺に怒鳴り散らしている


今まで芹沢の部屋に行って泣きながら出てきた女を嫌と言うほど見てきた彼らはみな動揺した様子だ


「今から芹沢さんに断りに行くのはだめなのか?」


原田が意見を出してくれるがあの男がそれを許すはずはないだろう


静かに首を振ると全員は項垂れたように彼女の運命をあわれに思った



「でも、なんで芹沢さんは楠葉のことを知っていたんだ?あの2人は会わせないようにしていたのによぉ」

「それは、前にあった宴会の日坂下が歩いてきた芹沢局長に鉢合わせてしまっていたのを俺が助けた時があって
その時に気に入られてしまったみたいだ」


静かに呟く斎藤にまた全員が黙ってしまう



「とにかくだ。あいつに何かあっては困る。しかし芹沢さんには断れねぇ、だからとりあえず楠葉の護衛を2人つけようと思う

そうだな…

斎藤と総司

頼めるか?」


「はい」
「まかせてよ」


こうしてあたしの
長い夜が幕を開けたのである


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