漆黒の黒般若
「去れ。でなければ斬る」

芹沢の目は座っていて
このままでは本当に斎藤は斬られてしまうだろう


暫しの沈黙が続くなか
口を開いたのは楠葉だった

「芹沢先生。あたしはここに残りますから沖田さんと斎藤さんは帰らせてください」


「えっ?!」


その言葉に沖田さんは驚きの声をあげ、芹沢さんはにやにやとしながら刀をおろす


「と、ゆうことだ。お前らは出ていけ」

「楠葉ちゃんっ」


困惑の表情を浮かべる沖田さんを斎藤さんが連れていく


襖が閉まると芹沢は楠葉の元を離れ
もといた座布団に戻った


てっきり襲われると思っていた楠葉は拍子抜けした

しかし、もしかしたら何か考えがあるのかもしれない
警戒し続ける楠葉は離れていった芹沢をにらみ続ける

「そんなに警戒するな。とって食ったりなんてしねぇよ。なんならお前はずっとそこにいろ

酌なんてしなくてもいい」

鼻で笑いながらまた酒を飲み始める芹沢の考えが全くわからなかった


「どうして、あたしをここに呼んだのですか?芹沢先生は何を考えているんですか?」


何もしてこないと思った楠葉は姿勢を崩し正座し直すと改めて芹沢の考えを聞いた



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