漆黒の黒般若
楠葉に出ていけと言われた僕たちは芹沢さんの部屋を後にする



最後まで抵抗できなかった自分に腹がたつ


しかしそれ以上に何も抵抗せずに僕を連れてきた一くんに腹がたった


「どうして大人しく出てきたのさ?!このままだと楠葉ちゃんは芹沢さんに襲われちゃうんだよ?一くん楠葉ちゃんが心配じゃないわけ?!」



総司はすたすたと先を歩いていく斎藤に怒鳴った
しかし斎藤は返事をするどころか振り向きもしない


苛立つ総司は斎藤に詰めより肩を掴んだ


「ねぇ?!聞いてるの?」
と、その時
総司はあることに気がつき手を離した


斎藤の肩は震えていた


こちらに顔を向けないのだがきっと顔はひどく歪んでいることだろう

そんなことが安易に想像できるくらいに斎藤の背中から怒りが沸き出ている


「…一くん?」


先程怒鳴ったとは思えないほどに静かな声で彼を呼ぶ

「…っているのだ」

「えっ?」


「わかっているのだ!俺だって坂下を助けてやりたいがあの状況下でどうやって彼女を救うのだ?考えればわかることだろ?
とにかく急いで局長と副長に報告しなくては…」


めったに声をあらげない斎藤が突然怒鳴ったので総司は呆然としてしまった


しかしそれまでに斎藤も楠葉の事を心配しているということが伝わってきた


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