漆黒の黒般若
しかし帰ってきたのは断りの言葉でも迷惑というような否定の言葉でもなく


ぽんっ


「えっ?」

頭の上に斎藤さんが手をおいたようだった

顔を上げるとこちらを見下ろす彼の顔はいつものように無表情だ

しかし頭におかれた手は優しくあたしの髪を撫でる


「あんたに俺の小姓は務まるのだろうか?
こんなに小さくて何が出来ると言うのだ?」

やっぱり…
あたしは迷惑だったんだ…ここにもあたしの居場所はないのかなぁ…

返事を聞いて泣きそうになる




「しかし、あんたなりにもなにか出来るかもしれないな。頼んだぞ坂下」


「はいっ」

思わぬ返事にとたんに笑顔を見せた楠葉に斎藤もつられて笑ってしまう


こうしてこの日から楠葉は彼らの仲間入りを果たしたのであった




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