漆黒の黒般若
「おはよう、楠葉ちゃん」

朝ごはんを取りに行こうと食堂に向かう楠葉に誰かが声をかけた


「あ、沖田さん。おはようございます」


振り向くと沖田さんがにこにこしながら柱に寄りかかっている

「朝早いね、ごはん?」

「はい。この時間じゃないと隊士の人達と会っちゃうので…

それより、沖田さんこそこんなところで何してるんですか?
今って朝の稽古の時間じゃないんですか?」


確か今は朝の稽古の時間のはず
一番組組長ともある人があろうことかサボリだろうか?楠葉はにこにこ笑う総司に眉をひそめる



「僕はやらなくていいんだよんっ」

「そんなっ。他の人たちもちゃんとやってるんですから沖田さんも稽古にでなくちゃだめですよ!隊士の方たちにも示しがつきません!」


「わぁ、楠葉ちゃん土方さんみたいなこと言うんだね?頬っぺた膨らませちゃってかっわいー。僕は強いから稽古なんて出なくてもいーんだよーっ」



「上手いなら他の人たちの稽古に付き合ってあげてくださいよ」


「やだねー。みんな僕が教えてあげてもなかなか上手くならないんだもん、それに朝から稽古なんてめんどくさいよー」


「そんなこと言わずに行ってあげてください」

「やだぁー、僕まだ眠いんだ。今日は隊務もお休みだしさっさとごはん食べて縁側で日向ぼっこがてらお昼寝するんだから」

「そんな呑気なこと言ってていいんですか?」


「どーして?」

さっきまで頬を膨らませて怒っていた楠葉が突然空気を変えたので総司も対抗する

「だって沖田さん、あたしに負けたことありますよね?」


「…っ!!」

痛いところを突かれて総司の顔が歪む


「女のあたしに負けて新撰組一の剣客とはずいぶんですね?」

「ふーん。これは喧嘩売られてるのかな?だったら勝負する?」


「はい。いいですよ」

「その代わり僕が勝ったら日向ぼっこの最中は楠葉ちゃんが添い寝してね?」


「そっ、添い寝っ?!」

急に出た難易度の高いお題につい考えてしまう

勝てばいい話だ!楠葉
君は今、隊士達の…
いや、新撰組の未来を背負っているんだ!頑張れ!


「えー?できないの〜?」

「望むところです!沖田さんが勝ったらあたしを煮るなり焼くなり好きにしてください!その代わり、あたしが勝ったらこれからは稽古はサボらないでくださいね」


よし言ったぞ〜!
言ってやったぞ!


密かにガッツポーズを決めたとたん沖田さんの言葉で現実に戻された


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