俺だけの花嫁
星と月が明るくきれいな夜だった。
ふと今がチャンスだと思った。
二人きり。
真琴と話をするいい機会な気がする。
「この前、風間さんに怒られたんだ。」
「え?」
真琴が目をまん丸にして驚いている。
「どうして?」
「“伊織様は真琴様に歩み寄るべきです”って」
「えぇ!?」
そう叫んだあと、ハッした顔になる。
いつの話がわかったようだ。
「あれから考えていたんだ。俺は…へんに安心していたのかもしれない」
「安心?」
「君が誰かに何か言われても、結局はもう“結婚”しているんだからって。対して気にしなくても大丈夫だって。」