俺だけの花嫁

初めてのデートなのに…

親父がNYから帰国した。

いつも突然なのだが、今回は風間さんも聞いていなかったようだ。



「久しぶりだね、伊織。真琴さん。」

「お、お久しぶりです」


真琴は夕食の手を止めて親父に挨拶をする。

スーツ姿の親父は機嫌がいいようで笑顔だった。
ま、どうだっていいけど


「社長!?お帰りは来月だったのでは？」

「こっちで会議があったものでね。」



風間さんの驚きの声にものんびりとそう答えて、スーツのジャケットを脱ぎながら席につく。

辺りを見回しながら「莉奈は？」と俺に聞いてきた。



「風呂」



俺は親父を見ずにそっけない返事をして食事を続ける。