俺だけの花嫁
雑誌をめくりながらそんなことを思っていると、隣で課題をしている真琴からの視線を感じた。
視線の意味は十分、わかっていた。
「今、真琴の考えが手に取るようにわかるんだけど?」
俺は微笑みながら言った。真琴には心の動揺を知られたくない。
真琴はバレたかという顔をしてから、素直に「…わかった?」と聞いてきた。
「まぁ、ずっと何か言いたそうだったし。」
「…。お父さん帰ってきて嬉しくないの?」
真琴の質問に思わず苦笑する。そっちを気にしていたのか?
「父親に久しぶりに会ったからって、喜ぶ歳じゃないだろ。」
「そうだけど…。伊織、素っ気なかったし…。」
「そうか?」
「それに…、お父さん、伊織のこと無表情で無口って言ってた。」
「父親にベタベタしてたら気持ち悪いだろ。」
「……」