俺だけの花嫁



そう。


俺は子どもの頃から春香だけが好きだった。

女の子と付き合ったことはあったが、やはり春香への気持ちが忘れられず長続きはしなかった。


俺の思いに春香は首を振る。



「伊織には真琴さんがいるでしょう!?」

「それは…」



そう言われて言葉に詰まる。


そうだ。俺には真琴がいる。

真琴は大切だし、特別だと思っている。

だけど、元を返せば政略結婚なんだ。



「真琴のことは…。結婚のことは親父が急に決めたことだ…。」



俺の春香への気持ちを知っているからだ。



「あなたの気持ちには気が付いていたわ…。でも私は昌平さんの妻なの。あなたの母親なのよ。」


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