俺だけの花嫁
わかっているさ。そんなこと。
「無理矢理、結婚したんだろ!?」
「伊織…」
「事業を助ける代わりに結婚だなんて、最低だ」
春香の実家の事業が傾いたときに2人は結婚している。実家の為じゃないのか!?
いや…。
本当はそうじゃないって気が付いている。
でも、そう思いたかった。
「…それでも私は貴方の気持ちに応えられないのよ…。」
「っ…。どうしてだよ、春香。俺はガキの頃から春香だけ見てきたのに…。…無理だよ。…母親だなんて思えないよ…。」
まるで駄々っ子のガキと一緒だ。
「ごめんなさい…。ごめんなさい、伊織…。」
スッと涙を流して謝る。
そうじゃないんだ。
俺だってわかっているんだ。
何もかも。