俺だけの花嫁


真琴の部屋まで行き、立ち止まる。

電気は付いていないようだ。

躊躇いがちだが、声をかけてみた。



「真琴?真琴…どうかしたか?」

「…ちょっと、体調悪くて…」



小さい声で返事があった。



「大丈夫か?」

「うん。寝てれば治るから…」



そう言って黙ってしまう

真琴…?



心配になったが、俺はそこから離れた。

俺自身、春香にあんなことを言って正直、真琴の顔が見づらかった。








しかし…


この時無理にでも真琴に会えば良かったと、後に俺は後悔をすることになる。






真琴が本当は、あの時近くにいたこと、春香との話を聞かれていたことに…。

ひとり泣いていたことに気が付かなかったのだ…。



< 170 / 244 >

この作品をシェア

pagetop