俺だけの花嫁
大粒の涙を流して泣きじゃくる真琴の髪にソッと触れた。
ピクッと肩を震わせたが、逃げなかった。
「真琴に信じてもらう為には、俺自身が雨宮から独立してただの“雨宮伊織”になろうと思ったんだ。」
正直、会社を作ってみたい気持ちもあった。
しかし、心の大部分を占めたのは真琴のことだった。
「真琴に信じてもらうために、一人の男として会社を立ち上げ、迎えにいくつもりだったんだ。」
「伊織…」
「俺たちは政略結婚だから、お互いの気持ちはわからない。だから、こんなにも擦れ違っていた」
優しく真琴の髪を撫でる