俺だけの花嫁
親父の去って行った方を見つめながら、自然と溜め息がでる。
気まずそうに風間さんがこちらを振り返った。
スーツを着た30代半ばのこの男は父の秘書兼俺らの世話係。
俺らってのは俺と妹。
妹の莉奈は今小学一年生だ。
有能なその彼が困ったように俺を見る。
「伊織様。これはお見合いをする数名のお写真です。」
テーブルの上に束になったお見合い写真を置いた
「お見合いなんて聞いてない。」
舌打ちしそうなのをこらえて目をそらす。