俺だけの花嫁
信号が赤になり、車はゆっくりと停車する。
「世間にはお二人のことはまだ公表しておりません。真琴様は雨宮の親戚ということになっております。学校では真琴様は雨宮ではなく、綾川の姓です。」
風間さんはミラー越しにこちらをチラッと見てからそんなことをサラリと言った。
“親戚”ね。まぁ、ある意味、身内には変わりはないが。
つか、公表する気がないなら結婚させるなよ。
出そうになったため息をグッとこらえる。
隣で真琴はわかりましたと返事をしていたが、俺は黙っていた。
アホくさくて言葉も出ないっての。