モテ遊ばれた実雨の恋愛【上】
その日の放課後。


「今からカラオケ行かない?」


楽しそうに鞄を振り回しながら麻南が言う。


「「さんせーい!!」」


私と樹夜夏は同時に、片手を挙げた。


「では、行きましょう!」


麻南を先頭に、カラオケ店へ行く。


仲良く三人で、校門を出ると、前方から一人の男の子がこちらへ向かって歩いてきた。


目を細めると、知っている人物だった。


侑だ。


私は、通りすぎる侑に挨拶をした。


「また明日〜」


手を振る。その時だった。


「…え?」


気が付くと、勝手に侑の後をついていた。


手元を見ると、侑が私の手首を掴んでいた。
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