この手でキミを温めさせて【短編】
「最高に愛してるぜ──!!!」
「何やってんだ、お前」
──ボスッ!
頭に重い衝撃が走り、俺の顔は真っ白な綿の中にめり込んだ。
「いってぇーな!!何すんだよ、タツ兄!」
「俺のペンションの前で一人漫才やってんじゃねぇ!邪魔だ」
座ったまま顔や頭についた雪を払う俺を、呆れた顔で見下ろすイトコの達矢(タツヤ)兄ちゃん。
雪焼けした肌とがっしりした体型がなんとも男らしい、なかなかのイケメンだ。
「せっかく感動の再会に浸ってたのによー」
俺は泣き真似をしてニット帽を被り治し、放り投げたスノボ板を拾い上げた。