この手でキミを温めさせて【短編】
「無理すんなって。とりあえずあの木の陰で休もう」


「はい、すみませ……きゃっ!?」



俺はちっこい彼女を軽々とお姫様抱っこして、風がなるべく当たらない木の陰へと歩く。



「と、冬瑚先輩…っ!?」


「歩けないだろ?じっとしてな」


「……はい」



こんな時に不謹慎だけど、顔を赤くして俺にしがみ付くマミちゃんはものすごく愛らしくて──…


俺は久々に心臓がドキドキと踊るのを感じていた。



木陰に彼女を降ろすと、置きっぱなしにしていた板を取りに戻る。


だんだんと吹雪は勢いを増して、もう先は真っ白でほとんど見えなくなっている。


さて、これからどうするか──…



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