この手でキミを温めさせて【短編】
●二人きりの世界●
辺りは見渡す限り真っ白で、二人きりで異世界に迷い込んでしまったように思える。
あぁ…俺はなんて不謹慎なんだろう。
こうして二人きりで話す機会なんて今まであまりなかったから、この状況を嬉しいとさえ感じている。
心の距離が段々と縮まっていくのも、はっきりと自覚出来るんだ。
だって……
「あの、冬瑚先輩……」
「どうした?足痛い?」
「いえ、そうじゃなくて…!
…あの“マミ”って呼んでくれていいですよ?」
なんだかいい雰囲気だし?
普通、嫌いな男にこんなこと言わないよな?
「ま、マミ……って呼んでいいの?」
「はい、ぜひ!うふふ♪」
そんなに嬉しそうに微笑まれたら…
脈アリだと勘違いしちまうぞ?