この手でキミを温めさせて【短編】
「色々教えてもらったんだけどさ、一番はアレが面白かったかな」


「『アレ』??」


「うん。こういう場所ですぐに体を温めるのに一番効果的な方法って知ってる?」



マミは『?』って顔をして首をかしげる。



「何だろ…ホッカイロとか?」


「ううん」


「じゃあ…とにかく動くとか!」


「違うんだなー」


「え〜わかんない!正解は?」



俺はタツ兄に教えてもらった時のことを思い出しながら、ニッと笑って手袋を取った。



「マミも…手貸して?」


「え?……はい」



戸惑いつつも手袋を取って片手を差し出す。


俺はその冷えきった小さく細い手を握って、自分のポケットの中に突っ込んだ。


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