この手でキミを温めさせて【短編】
「先輩、何か言おうとしませんでした?」


「あ…いや、何でもない!」



純粋にキラキラ輝く瞳を見れなくて目を逸らした。


イケナイ妄想が頭の中にむくむくと浮かび上がってくる。


ていうか、俺……

今かなり大胆なことしてないか?


触れ合う手に意識が集中し、ますます体が熱くなってきてしまった。



しかもマミは──…


「冬瑚先輩の手…あったかい」


なんて言いながら腕に寄り添っている。



「マミ──…」



無意識に呼んだ名前に、俯いていた彼女が俺を見上げる。


真っ白な中にほんのり紅く染まる頬と、潤んだ瞳──



もう、俺の理性は崩壊寸前だ。



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