この手でキミを温めさせて【短編】
いや、俺だって代われるもんなら代わってやりたいよ?

俺は別にサクエリちゃんを好きなわけじゃないから。


本当は他にいるんだ、気になる子が。


俺は一組のほのぼのペアをちらりと見やる。



「大丈夫?足痛くない?」


「はい!大丈夫で……あっ」



──コケッ。


あ、こけた。



「あっはは!マミちゃんもう転んでるし。大丈夫?」


「だ、大丈夫です!えへへ」



差し伸べられた手に、恥ずかしそうに笑いながら尻餅をついたマミちゃんが手を伸ばす。


くそー、代わりてぇ!


あのどんくさいマミちゃんの面倒は、この俺が見てやりたいんだ。


< 6 / 44 >

この作品をシェア

pagetop