*硝子*【短】
「三咲さーんっ」


ドアの向こうから
聞こえる聞き覚えのある声。

「酷いですよ・・・」

御神さん─・・・。


「・・・って、え誰?」

御神さんはいきなり現れた
峰原さんに気付き、驚く。


「だ、誰って失礼でしょ!」

「私が仕事でお世話になってる
社長さんよ!峰原さんっ」


御神さんはへえーっと言った
顔で峰原さんをじっと見る。


「僕は御神 恵介です!」
「倖ちゃんの幼稚園で働いてます」

自己紹介をし、ぺこっと
お辞儀をした。


「どうも、私は峰原 誠司です」
「○○社の社長をしています」

峰原さんは名刺を御神さんに
礼儀よく渡した。

私は倖の側にただその二人を
ずっと眺めていた。


「けいすけ先生ー!」
「いっしょにお絵かきしよっ?」

倖が御神さんの服の袖を
引っ張り御神さんは倖の元へ。

「じゃあ三咲さんは
ゆっくりしてて下さい」

御神さんは笑顔でそう言った。


「あ、待って・・・さっき
足が痛いとか言ってなかった?」

「大丈夫なの・・・?」

さっきの事を思い出し、
御神さんの足に目を向ける。

「ああ、ただの捻挫でした」

あっけらかんとしたその
表情からは考えられない。

「園児と遊んでる時に
ちょっと捻ったんですよ」


前向きね・・・。
呆れるほど・・・。

変わった人ね、やっぱり・・・。
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