*硝子*【短】
私は、二人のどちらか
を選らんで、どちらかを
残酷に突き落とすの・・・?

それとも、どちらも
残酷へ突き落とすの・・・?

私には出来ない。
どちらかを選ぶなんてっ。


ましてやどちらも選べなくて
二人を嫌な思いにさせたくない・・・。


「ママ・・・けいすけ先生・・・」

ベッドから聞こえる
倖の声に私は飛び上がる。

「倖・・・っ!?」
「倖ちゃん・・・っ」


そこには息が上がり、
苦しそうにもがく倖の姿。

「さ、倖・・・っ!!?」

「先生呼んできますっ!」

私はその場で泣き崩れていた。

─お願い、倖を助けて神様─
ただそう願っていた・・・。


「三咲さん、先生呼んで
来ましたっ!」

「先生・・・お願い・・・っ
倖を助けて・・・っ!」


私は先生に泣きながら
そう叫んだ。


倖の様態が悪化した
のまでは判った。

でも、その後の事は
難しくて判らなかった。

そして一つ、判った事が
あった─・・・。





倖が、還らぬ人となった。


  
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