君が隣にいれば (短編)
君が隣にいれば
私には一つ歳下の妹がいる。

美雨と晴乃。

私と妹の名前はそれぞれ、生まれた日の空模様が由来になってるらしいけど。

それってあんまりだと思わない?


みんなから愛される晴れは晴乃。

嫌われ者の雨は私。


生まれたときからそんな役割が決められてるみたいで。

私は小さいときから、自分の名前も、雨の日も、あんまり好きじゃなかった。


私たちは顔も性格も全然似てない。

まるで、私がお母さんのお腹の中に愛嬌を忘れて来ちゃって、それを全部晴乃が持って生まれてきたみたいに。

可愛がられるのは晴乃。

甘やかされるのも晴乃。


私は疑問も持たず、物心ついた頃には、聞き分けのいいお姉ちゃんになっていた。

お利口な美雨。

単純な私はそう言われるのが嬉しくて、晴乃が欲しがるものは何でも譲ってあげた。

ピンクのリボンも。

フリルのスカートも。

おもちゃのネックレスも。


だって、私よりずっと晴乃の方が似合ってる気がしたから。
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